結論
センター数学においては、
●数学Ⅰ「データの分析」(四分位数、箱ひげ算・図)が必修に。かつ過去問の蓄積がない。
中継出版等の「講義系」参考書、センター模試、センター模試問題集に期待。
・数Aが選択制になり、融合問題が作りづらくなるため、
問題量が増加 or 各分野「図形」「整数」「場合の数と確率」が難化。
数学A「整数」は、過去問の蓄積がない。
かといって「図形」「場合の数と確率」は難化。
・数学B「確率分布と統計的な推測」も過去問の蓄積がない。
とはいっても、多くの学生は「数列」「ベクトル」を選択するので問題はない。
二次試験(理系)においては、
「一次変換」が「複素数平面」(旧旧課程)に変更されただけ。
二次では数学Ⅰ「データの分析」は出題されない or 簡単。
平成27年度より、新課程に依拠した(大学)入試が行われる。
新課程になり大きな変更があるのは、数学と理科(物理・化学・生物)である。
以下は数学の変更点。
●数学Ⅰ「データの分析」(四分位数、箱ひげ算)
かつての数学B、Cの「統計」から移行。
ネット社会を反映。
数学A「整数の性質」「条件付き確率」
新課程以前も、一部の大学(京大)は出題していた。
という意味でたいした変更ではない。
センター数学において、
数学ⅠAの「図形問題」の難化。
及び、問題数の増加が予想される。
●数学Ⅲ「複素数平面」「曲線の長さ」
ほぼ旧旧課程の「複素数平面」と同じか。
「ド・モアブルの定理」程度までとされる。
「平面図形への応用」や、
点のみならず「曲線の回転」問題の出題も予想される。
センター試験への影響
新科目『数学活用』は必履修科目には取り上げられておらず、センター試験の出題範囲にも含まれないと考えられる。
●『数学I』「データの分析」、『数学A』「整数の性質」、『数学B』「確率分布と統計的な推測」の3分野に関しては、過去の出題例がないため(または内容が大きく変更されているため)、試行問題が提供されるのかどうかが注目されるところである。
二次・私大入試への影響
今回の改訂で、理系大学の出題範囲に関しては、「行列」と「複素数平面」が入れ替わっただけであると言ってよいだろう。その他の変更点に関しては入試への影響はほとんどないと考えられるが、
●新課程入試初年度には多くの大学で経過措置がとられ、「共通範囲での出題」または「選択問題」という形で対応されることになるだろう。
『数学I』に新設された「データの分析」は、ごく限られた大学(教育系の学部をもつ大学等)以外で出題される可能性は極めて少なく、出題されたとしてもあまり難しい問題ではないと思われる。
『数学A』が「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」の中から適宜選択となっているが、いずれの内容も入試では重要な分野であり、各大学が出題範囲としてどの分野を指定してくるかが注目される。
従来の学習指導要領では「整数」を扱う単元がなかったが、入試では多く出題されていた。不定方程式の整数解や剰余類の性質は、暗黙の了解として高校数学で扱われるべき内容であったと言ってもよいであろう。今回の改訂で「整数の性質」という単元が選択分野として明示されたため、出題範囲として「整数の性質」を指定しない場合にこれまでのような「暗黙の了解」が認められるのかどうかが気になるところである。
また前述のように、『数学II』の「微分・積分の考え」では次数制限の歯止め規定が撤廃されている。現実には旧課程や現行課程でも、次数制限を無視した問題も多く出題されているが、今後は気にすることなく出題されることになる。